客先常駐はエンジニアがクライアント先へ常駐してシステム開発を行うことです。
自社の管理から離れるためブラック労働の温床になる反面、現場次第でさまざまな経験を積むことも可能。
未経験者がエンジニアを目指す場合、数年限定で入社すればスキルや経験を蓄積でき目指す企業に入社できる可能性があります。
本記事を読むことで、以下がわかります。
未経験者の方はご自身の目指すキャリアが、すでに常駐して嫌な思いをしている方はほかの選択肢を知ることができます。
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客先常駐ITエンジニア(SES)について解説
客先常駐とはクライアント企業(客先)に常駐してシステム開発を行うことを指します。
客先に毎日直行直帰するため、定期も自宅最寄り駅から客先最寄り駅で購入することがあるでしょう。
所属は自社の正社員でありながら、派遣社員のように派遣されるため派遣社員と間違われますが指揮命令系統が違います。
下記に客先常駐と派遣社員の違いをまとめました。
正社員/派遣社員 | 所属 | 命令系統 |
---|---|---|
正社員 | 雇用元の企業 | 雇用元の企業 |
派遣社員 | 派遣元 | 派遣先企業 |
ここでは、客先に常駐している他社の正社員が客先常駐エンジニアと理解しましょう。
客先常駐とSES・派遣の違いを解説
ここでは客先常駐・SES・派遣の違いを解説します。
客先常駐やSESなどなんとなく使っている場合、それぞれの言葉の違いを理解することで自分の立ち位置を確認できます。
客先常駐
客先常駐は効率や情報セキュリティなど現場判断で実施が決まります。
業務を行う形式を表す言葉で契約内容とは関係がないともいえるでしょう。
客先常駐=契約で義務付けられているわけではありません。
SES
SESとは「System Engineering Service」の略で、システム開発における委任契約の1つです。
SESの特徴として以下があげられます。
- エンジニアの労働力を提供するため、報酬は時給換算で支払われる
- 発注者は作業者に対して指示できない
メリットは毎月報酬が支払われるため受注企業側の事業計画が立ちやすい点があります。
デメリットはエンジニアを長時間働かせることで売上が増えるため、残業が常態化してしまう点です。
SESと異なる契約形態として「請負契約」もあります。
請負契約は以下の特徴を持つ契約です。
- 成果物が完成するまで報酬がもらえない
- 発注者は作業者に対して指示できない
SESと違い発注者側は支払う報酬が固定されるため、事業計画を立てやすくなる点がメリットといえます。
対して受注側からすれば、報酬が固定なので開発中は費用が自腹になるため開発期間が伸びると赤字になる可能性があります。
さらにSESと請負に共通するデメリットとして「偽装請負※」の温床になる点があげられます。
※:契約上は発注元が指示できないにもかかわらず、実態は発注元が作業指示を出している状態
派遣
労働者が派遣会社(派遣元)と雇用契約を結び、派遣先で就業する働き方です。
SESと似ていますが派遣は労働者の派遣であり、成果物に対する契約ではありません。
派遣の特徴としては以下があります。
- 派遣会社から給与が支払われる
- 業務指示は派遣先から受ける
- 3年以上同じ企業の同じ部署に在籍できない
SESや請負と違い派遣は派遣先から業務指示を受ける点が大きな違いといえます。
労働者派遣法により、3年以上同じ企業の同じ部署に在籍できない点も特徴的です。
客先常駐を選択した場合のキャリアを具体的に解説
客先常駐のエンジニアとして働く場合に想定されるキャリアをまとめました。
キャリアを具体的に想像することで目標を設定でき、「何となく作業だけして年を取ってしまった」という状況を防げます。
ケース1:開発担当として常駐を続ける
開発業務を続けたい場合は常駐が続きます。
既存システムの担当が10年以上と長くなれば顧客からの信頼やチーム内の発言権も強くなります。
反面、長期に担当しているプロジェクトが終息した場合は次の現場へなじむまで時間がかかる可能性があるでしょう。
さまざまな現場を渡り技術面や知識を貯えることでどの現場でも通用する人材になることも可能です。
ただどちらにしても年齢が上がれば、後輩や協力会社の社員をチーム単位でまとめる立場を任されることがあります。
自分ひとりで仕事をし続けたい場合は派遣社員やフリーランスでの常駐も視野にいれましょう。
ケース2:チームリーダーを経験してPL・PMを目指す
PLやPMを目指すケースもあります。
マネジメントスキルを身につける必要があるので、後輩指導や協力会社のとりまとめなど積極的に行いましょう。
- 現場に長く常駐できる
- 上司からの信頼がある
運の要素はありますが上記を満たせればリーダーとして活動することが可能です。
問題なくプロジェクトを運営できることができれば、自社の社員や協力会社をまとめるリーダーポジションを得られるでしょう。
- 自社が一次請けできる
- リーダーとしての経験がある程度蓄積できた
上記の場合はPMになることも可能です。
マネジメント経験は年齢が上がっても転職に有利に働くため、キャリアとして視野にいれましょう。
ケース3:営業に適正がある場合は複数の現場を掛け持ち
営業に抵抗がない場合はほかの現場へ営業をかけて案件を獲得するエンジニアもいます。
- 客先の社員と仲良くなってほかの社員を紹介してもらう
- 自社で持っているクライアントのリストをもとにアプローチする
営業方法はさまざまですが、案件を獲得できればリーダーとして現場へ参入できるでしょう。
案件の獲得以外にも協力会社とも関係を作る必要があります。
自社の社員だけでは必要な人数を満たせない場合や現場が炎上して人員の追加が必要な場合にも対応するためです。
複数の現場を定期的に回って常駐させているほかのエンジニアから状況をヒアリングして調整する働き方もできます。
客先常駐の仕事内容について解説
客先常駐の仕事内容について具体的なイメージを持つことも重要です。
既存システムの機能追加を担当するエンジニアの仕事内容を紹介します。
前提としてモデルにしているエンジニアの特徴は以下の通りです。
- 経験年数4年
- 経験言語はJava(Spring)
- 現在作業はプログラム設計、実装
- 先輩エンジニアがいる
- 後輩や協力会社社員の指導はしていない
時間 | 仕事内容 |
---|---|
9:30 | ・出社 ・メールチェック ・TODOを整理 |
10:00-11:00 | ・プログラム設計書のレビュー結果を確認して修正 ・詳細設計担当へ仕様の確認 ・プログラム設計書のレビュー指摘事項を反映して再提出 |
11:00-12:00 | ・チームの進捗ミーティングへ参加 |
12:00-13:00 | 昼食 |
13:00-15:00 | ・プログラム設計書のレビュー待ち時間を利用して実装の準備 ・類似した機能のプロジェクトをコピーしてリネームする ・ソースコード管理システムへコミットする |
15:00-16:00 | ・プログラム設計書のレビュー結果を確認 ・実装へ正式に着手 ・残り日数をチェック |
16:00-20:00 | ・実装作業 ・以前担当していた機能についての質問に答える |
21:00 | 帰宅 |
開発作業がある場合は担当が割り振られているため、スケジュールを確認しながら作業を進めます。
レビュー担当者の行動(遅刻が多いか、回答が早いか)を把握して必要に応じて早めにレビュー依頼するなどの工夫が必要です。
作業指示が出ていない場合でも下準備だけは進めておくと、プログラム設計が長引いた場合でも対応が後手後手になりません。
担当者レベルであればミーティングは参加するだけなので説明資料の準備も不要です。
ノートPCを持ち出せる場合はミーティング中に作業することもできます。
客先常駐企業の見分け方について解説|求人票や会社概要でチェックできる
「客先常駐企業に入社したくない!」という場合、気になる企業が客先常駐をやっているか見分ける必要があります。
企業に質問したとしても正直に答えてくれる可能性がなかったり、はぐらかされる可能性もあるため見分け方をおさえましょう。
- 求人票の勤務場所が「東京23区」「東京都内各所」などと書かれている
- パートナー企業(協力会社)の提携募集があげられている
- 採用ページに「未経験者歓迎」などの文言が書かれている
- 会社概要の許認可に「労働者派遣事業許可」がある
受託にせよ自社サービスにせよ、自社で開発を行う場合は自社の住所が勤務地になります。
そのため、「東京23区」などと書かれている場合は客先常駐の可能性が高いです。
協力会社との提携募集がHPに掲載されている場合も注意しましょう。
SESの場合は参画させるメンバーが多ければ利益が大きくなるため、客先常駐企業同士でメンバーを融通しあう文化があります。
そのため提携を結ぶためにHPに掲載します。客先常駐企業の多くが提携募集を行っているので分かりやすい特徴でしょう。
採用ページもチェック対象です。「未経験者歓迎」などの記載は客先常駐企業の特徴です。
前述のとおり人を参画させれば利益が出るため、技術力より人数の確保を優先します。そのため未経験者でも歓迎となるのです。
ほかの会社と比べられる中途採用者より未経験者を率先して採用したがる企業もあります。
自社サービスを展開する企業であれば自社のリソースでシステムを開発するため、技術や経験があることが前提です。
そのため未経験者の採用ページ自体が存在しない企業もあります。
会社概要も客先常駐企業か判断できるポイントです。
許認可の欄に「労働者派遣事業許可」がある場合は客先常駐を行っている企業といえます。
労働者派遣の契約形態で客先常駐を行う場合、「労働者派遣事業許可」は必須です。
そのため「労働者派遣事業許可」があると過去に客先常駐をしていたか、現在客先常駐を行っていると考えられます。
面接でオフィスを訪問した場合にもチェック可能です。
- 社員数に対してオフィスが小さい
- 企業にいる社員数が少ない(社長と事務員のみ)
社員数が30名以上いるのに小さい雑居ビルテナントである、社内に社長と事務員しかいない場合は客先常駐企業といえます。
ほかの社員は現場に常駐しているからです。
「募集要項やHPだけじゃ信じられない!」という方はオフィスを訪れた際にチェックしましょう。
なぜ常駐しないといけないの?自社で開発できない理由を解説|リソース不足・情報漏えい防止
業務委託契約自体は客先常駐を義務付けるものではありません。
つまり持ち帰りして自社開発することも可能なのです。
そうすれば客先で不当な扱いを受けることもなくエンジニアにとってもメリットがあるといえるでしょう。
厚生労働省が作成した「働き方・休み方改善ハンドブック(情報通信業)(分割版4)」によれば客先常駐するエンジニアは9割に及びます。
なぜ客先常駐を選ぶことが多いのか以下のポイントから解説します。
常駐の理由を明確にすることで現状の常駐を続けるか転職するか判断できるようになるでしょう。
情報漏えい防止のため、データを持ち出せない
元請け(一次請け)にせよ二次請け以降にせよ顧客との間には守秘義務が発生します。
銀行や商品販売など個人情報を扱うシステムとなると情報漏えいへのリスクヘッジを求められるでしょう。
そのため自社で開発したことで情報漏えいするリスクよりも客先常駐させてセキュリティ強化を客先に任せたがるのです。
「DBはAPI経由でアクセスするから業務ロジックくらいは自社で実装したい」と考えることもできます。
しかしルール上、ソースコードをUSBやクラウドストレージで持ち出せない決まりを設ける客先もあるので難しいです。
自社に開発環境を構築できない
仮に情報漏えいの問題をクリアしても自社に開発環境を構築できない場合もあります。
開発環境を構築する場合、簡単に以下の設備が必要になります。
- ファイルサーバー
- バージョン管理システムの稼働するサーバー(ソース管理)
- 事前環境など、客先のネットワークにアクセスする場合はVPNの用意
- エンジニアの座席
- 自社内の開発用ネットワーク構築(ルーター、ブリッジの設定、ファイアウォールの設定)
また上記を維持するインフラ担当やOA担当が必要になってくるので人件費もかかるでしょう。
常駐前提なら経費節約でオフィスを小さくするため、そもそもエンジニアのデスクを置くスペースがない可能性もあります。
ランニングコストを払って自社で作業させるより、他社の設備で開発だけさせれば効率が良いと判断されることが多いです。
コミュニケーションが取りやすいと思われている
常駐での開発は数十人月~数百人月と大規模になります。
かかわる人数が増えるため連携を図ることが難しくなってしまうでしょう。
そのため同じ開発ロケーションに集めて作業させることで効率を高めることを理由に自社での開発を依頼します。
エンジニアを一か所に集めれば元請けは自社の社員の稼働を抑えられるため、元請けのコスト削減の思惑もあるでしょう。
客先常駐が地獄といわれる理由について解説|偽装請負・中抜き・スキル不足
「客先常駐はやばい・地獄だ」といわれる理由として以下があります。
ここでは客先常駐がやばいと言われる理由について解説します。
客先常駐のリアルを知ることで、ご自身の現状を判断することができるようになります。
偽装請負や多重派遣などブラックの温床になりがち
常駐先で偽装請負や多重派遣が横行しているケースがあることが地獄といわれる理由の1つといえます。
偽装請負とは請負契約の場合は発注元は指示を出せないにもかかわらず、実際は発注元が指示を与えることです。
発注元が明らかな指示を出す場合や、元請けが発注元に指示を仰ぐ場合もあります。
二次請け、三次受けの企業は元請け発注元の契約内容はわからないため偽装請負を指摘してもしらを切られてしまうでしょう。
多重派遣とは労働者派遣の場合に派遣先からさらに別の派遣先へ行かされることを指します。
指揮命令系統が不明確になり、業務遂行に支障がでる可能性が高い行為であり違法です。
上記の法律違反があった場合、現場で働くエンジニアには以下の問題が生じます。
- 無理な要求をされても拒否できず長時間残業や休日出勤を余儀なくされる
- 指揮命令が不明確になり問題が起きた場合、エンジニアに責任転嫁される
- 自社が実態を把握できず支援が遅れる
こうした法律違反が横行することで客先常駐は長時間労働、厳しい納期を迫られブラックな労働環境が作られてしまいます。
スキル・経験なしでも常駐させられる
低スキル・経験が乏しい新人エンジニアが常駐することも地獄といわれる要因です。
- ほかのエンジニアの開発効率が下がり長時間労働を余儀なくされる
- 新人もスキルが伸びない・短期で会社をやめてしまう
どちらの立場も「地獄である」と認識することになるでしょう。
ではなぜこうした問題が起きるのか、理由は「人月商売」が関係しています。
人月とは作業量を表す単位です。
人月とは、作業量(工数)を表す単位の一つで、1人が1ヶ月働いた作業量を1としたもの。
出典:IT用語辞典
システム開発の見積りを行う場合、人月で作業量を見積ります。
100人月といった具合に開発の総量を判断して、エンジニア1人当たりの単価をかけることで大まかな予算を割り出せます。
人月は簡単に見積りができる反面、エンジニアの技術力やスキルは評価されていません。
ベテランでも新人でも1人月なのです。
つまり下請け会社からすれば10人月を求められたら10人の人間を現場に送り込めばそれだけで10人×単価の売り上げが入ってきます。
スキルがあろうとなかろうと工数を満たせば契約違反になりません。
さらに若い未経験者であれば安い給料で雇えるため、単価の設定を調整すれば利益率が高くなるのです。
結果として低スキル・経験なしにもかかわらず新人が現場に常駐してきます。
こうした「人月商売」の構造が地獄であるといわれる理由の1つです。
1人での客先常駐は助けてくれる同僚がいない
客先常駐は複数人で参画することもありますが、1人で現場へ参画することもあります。
いわゆる「1人現場」という状態で、文字通り自社の社員はいません。
気楽である半面、作業で困ったときに助けを求められない環境ともいえるでしょう。
- 1人でやっていけるスキルや経験がある
- 自社の先輩や上司がパワハラ気質・能力が低い
- 誰とでも抵抗なく話せる・質問できる
上記に当てはまる方は1人現場が向いているといえますが、そうでない場合は苦痛に感じることもあります。
常駐先での放置や無茶ぶりがある
常駐先では自社の目が届かないため、不当な扱いが露見しにくかったり本社の上層部が理解してくれないこともあります。
- 無理な納期で作業させられて調整の余地がない
- 本社に訴えても「努力不足」などの理由で取り合ってもらえない
- 本社としてもクライアントなので強くいえない
上記の理由で不当な扱いがエスカレートすることもあるでしょう。
筆者の先輩エンジニアは客先で無理な要求に耐えられず精神安定剤を飲んで仕事を続けた後、会社を恨んで退職しています。
常駐先のルールが厳しい
開発現場の中では問題を起こすエンジニアもいるため、「再発防止」としてプロジェクト内のルールが追加されます。
実際に筆者が経験した現場のルールをご紹介します。
問題 | ルール |
---|---|
メールの誤送信 | ・メールを送る場合は客先社員を必ずCCに入れること ・誤送信防止ツールのインストール強制 |
飲み会の帰りに入館証の紛失 | 飲み会を行う場合、入館証を常駐先オフィスに置いておく。翌日は出社した社員に電話連絡して持ってきてもらう |
リリースミス | チェックリストの作成(ミスするたびに増える) |
途中参画したエンジニアからすれば非常に滑稽に見えるルールも、現場ではまかり通ってしまいます。
ルールに縛られることを嫌う人にとっては地獄といえるでしょう。
開発環境や人間関係が劣悪
開発環境や人間関係が劣悪な点も地獄といわれる理由です。
- 渡されたPCが10年型落ちのCore2 DUO
- 髪の毛やフケがつまったキーボード
- 隣の人と肘がぶつかるくらい狭いデスク
- 冷暖房が効かないオフィス
筆者が経験した環境でいえば、上記の現場がありました。
エンジニアというとMac Book proで作業する印象ですが、常駐の場合はWindowsです。
またコスト削減のためPCも10年近く同じものを使っていることも珍しくありません。
環境だけならまだマシで人間関係が悪いケースもあります。
- 情報を与えない人
- 横柄な人間がリーダー
- 先輩がパワハラ気質
- 他人のミスを大げさに吹聴する
枚挙にいとまがありませんが、筆者が経験した現場では上記の人間がいました。
上司や先輩が時間にルーズでパワハラ気質だったためQOLが低い状態が数年続いたことを覚えています。
炎上プロジェクトの場合は激務で肉体的・精神的に辛い
プロジェクトの納期が間に合わず炎上している場合、肉体的・精神的に辛くなり地獄だといわれる特徴です。
会社としても炎上=多くの人員を参画させられるため、売り上げが大きく伸びるチャンスとして参画を指示します。
炎上プロジェクトはメンバーの士気も下がりがちで雰囲気が悪いことも多く、精神的に辛いです。
あきらかに長時間労働で休みがないので、わかりやすく地獄と表現できます。
客先常駐でも乗り切る方法について解説
客先常駐についての問題点を多く解説してきました。
しかし客先常駐エンジニアで長年働いている方もいます。
ここでは辛い客先常駐を乗り切る方法について解説します。
「客先常駐企業に内定をもらってしまった」「もう少し客先常駐にチャレンジしたい」などの場合、乗り切り方を理解できます。
自分のキャリアプランや目標がぶれない人
「何のために客先常駐を選んだのか?」を明確に持っている場合は辛い常駐を乗り切ることができるでしょう。
- 自社サービスを持つ会社へ転職したい
- 入りたかった会社が客先で、客先への転職を成功させたい
- 身に着けたい技術を扱っている常駐先である
なんとなく入社した場合に比べて明確なビジョンがある人は常駐でも続けられる可能性があります。
筆者は自社サービスを持つ会社への転職を目的として客先常駐の企業に入社し、無事に転職をはたしています。
ぶら下がり社員になりたい
こうした考えの方も常駐を長く続けられる可能性があります。
いわゆる「働かないおじさん/おばさん」を目指すというものです。
会社は労働者を簡単に解雇できないため、問題を起こさない限りは給料をもらい続けられます。
- 1人現場で10年以上在籍している
- 営業的な立ち回りを習得してなんとなく働いている風に見せられる
自社にいないということは、上司の監視もないため自由といえます。
現場の状況やご自身のスキル次第でさぼりながら給料をもらえるポジションを作れる可能性があるでしょう。
非常に不純な動機ですが、モチベーション維持にはうってつけです。
未経験や新卒で客先常駐を回避できるのか解説|プログラミング経験必須・中途やスクール上がりでは厳しい
「プログラミング未経験だけど自社サービスを持つ会社に就職したい!」という方もいますが、難しいことが前提です。
自社サービスを持つ会社は人月商売ではないため、スキルを持つエンジニアが必要。
そのためプログラミングの実務未経験者を採用することはありません。
新卒を採用している企業もありますが、プログラミング経験者が前提です。
プログラミングスクールを出た場合でも実務経験がないため、自社サービス開発企業への採用は難しいといえます。
客先常駐の回避策としては以下があります。
- エンジニア勉強会で企業のエンジニアと知り合う(リファラル採用)
- SNSで情報発信を続けて企業からのスカウトを受ける
- 自分でサービスを開発してポートフォリオとして提示する
「connpass」などIT勉強会プラットフォームから勉強会に参加することでエンジニアと知り合えます。
勉強会を通して人となりを伝えれば、自社へ紹介で入社できるリファラル採用される可能性があります。
株式会社メルカリはリファラル採用を取り入れています。
リファラル採用のメリットは以下の通り。
- エンジニアの思考やスキルが具体的に見えるのでミスマッチが少ない
- 現場ニーズにマッチした人材が獲得できる
ほかのエンジニアと知り合うだけでなく、さまざまな知識も得られるため勉強会への参加は必須といえるでしょう。
次にSNSを活用する手段です。
TwitterやInstagram、YouTubeで情報発信を続けることで企業からアプローチされることがあります。
フォロワー数が多いアカウントなら影響力が大きいと判断されるため、技術に詳しくない人事担当者の目を引きやすくなります。
SNSは長期継続する必要があるため時間がかかる点がデメリットです。
最後は自分でサービスを公開してポートフォリオとして提示する方法です。
- 自分でサービスを開発して運営している
- ある程度のサービス利用者がいる
- 収益化できている
上記に当てはまるサービスを持っている場合は実務経験がなくとも実績として提示可能です。
レンタルサーバーやAWSを利用すればサービスを構築できるので、実際に作成して公開しましょう。
サービスをゼロから構築する経験は普段の業務でもあまり経験できるものではありません。
簡単なプログラムをAWMへデプロイだけでもよいので、チャレンジしてみましょう。
まずい現場に入った場合の対処方法
ここではまずい現場に入った場合の対処方法を紹介します。
現状を理解することで次のアクションを考えることができます。
方法1:今の現場の何がまずいと思うのか整理する
今の現場で仕事がやりにくいと思っている場合、何が嫌なのか整理しましょう。
- 参画したばかりで作業になれていな
- 上司や先輩があきらかにパワハラされる
- 客先からの要望が多くてチームが疲弊して雰囲気が悪い
次に自分で解決できる問題なのか判断します。
- スキル不足ならスキルが蓄積できるまで耐えられるか?
- パワハラが厳しいなら本社に相談できるところがあるか?
- 客先の要望の調整をリーダーや営業に頼めないか?
これらの対処が難しい場合、転職や退職を検討してください。
方法2:明らかなパワハラがある場合は所属会社に連絡
- 些細なことで怒鳴られた
- 恫喝される
- 人格を否定される言動がある
- 自分の能力以上の仕事を割り当てられる、または能力が著しく低い仕事を割り当てられる
- 不要な拘束(説教)
上記のパワハラを受けている場合は所属会社に連絡しましょう。
所属会社も取り合ってくれない場合は労働基準監督署に相談が必要です。
最初からパワハラを解決する方向ではなく、相談ベースで始めると労基署から証拠の集め方などのアドバイスをもらえます。
取り急ぎなにか始めたい場合は以下をおすすめします。
- 録音や録画
- パワハラされた日時と内容、自分がどう感じたかを日記につけておく
若手のエンジニアほどパワハラを受ける可能性があるため、対策をとる必要があります。
方法3:現場異動するまで耐える
具体的なアクションは起こしたくない場合、現場異動するまで耐えることも選択肢の1つです。
物事はさまざまな面があるので、常駐先でも良い点や悪い点があるでしょう。
良い点にフォーカスすることで不満をしのぐことも可能です。
方法4:精神的に限界なら退職代行を利用する
- 朝起きられない
- 何もしてないのに涙が出てくる
- 食欲不振
- なにも楽しめない
上記以外にも身体の異常があれば、精神的に限界を迎えているサインです。
理想は転職先を見つけた上で退職することですが、精神的に限界であれば退職を優先しましょう。
退職代行企業や弁護士事務所に依頼すれば最短で即日退職交渉できます。
- 上司に退職を伝える
- 業務の引継ぎ
- 職場への挨拶
これらが一切不要になるので楽に退職できます。
退職代行は違法だという意見もありますが、労働組合が運営する退職代行なら交渉も合法です。
費用はかかりますが、弁護士に依頼すれば違法性も問題ありません。
また病院に行って診断書を発行してもらえれば、退職後の雇用保険も給付制限なしで受け取れる可能性があります。
エンジニア未経験者には客先常駐がおすすめな理由
客先常駐の悪い面が目立ってしまいますが、未経験者には客先常駐がおすすめできる理由もあります。
客先常駐企業へ行くか悩んでいる方は、本項目をチェックすることで前向きに検討することができます。
理由1:求人数が多い
客先常駐企業は通年で採用している場合があります。
求人数が多いため、採用される可能性が高い点で客先常駐企業はおすすめ。
前述したようにプロジェクトに人を参画させれば利益が出るので、採用のハードルが低いためです。
正社員として採用され毎月給与が支給されるため、言い換えれば「雇用の受け皿」になるともいえます。
理由2:現場次第でキャリアアップでき、転職に有利になる
現場によっては転職に有利になる経験を積める場合もあります。
- 最初は実装から始めて後にプログラム設計、詳細設計、基本設計と担当できる範囲が広がる
- 自社の後輩や協力会社の指導など、リーダー経験を積める
現場によっては数年間Excelファイルの整理のみでスキルが身につかないところもあるので注意が必要です。
しかし客先常駐の会社は数多くあるため、自身を成長させられる会社を見つけることも可能でしょう。
未経験者による客先常駐企業の選び方
「客先常駐のリスクも理解した。スキルをつけるためにSESをやる!」とお考えであれば実際に企業を選びましょう。
企業選びのポイントは以下の通りです。
- テックブログがあり、頻繁に更新されている
- 具体的な福利厚生がある
- 複数人で現場に常駐すると明記されている
テックブログがあるかは必ず確認しましょう。エンジニアが情報発信できるくらい稼働に余裕がある企業の可能性があります。
更新頻度が高ければエンジニアが勉強している、社内の情報共有が活発ともとらえられるでしょう。
「図書購入制度」や「奨学金返済支援制度」など具体的な福利厚生がある点もチェックポイント。
社員のニーズをくみ取った制度である可能性が高いです。
形骸化している場合もありますが、社内ブログとあわせて確認しましょう。
複数人で現場に常駐するかのチェックも必須です。
経験が浅い状態で1人現場で入る可能性を排除しましょう。
「転職口コミサイトを参考にしないの?」とお考えかもしれませんが、おすすめできません。
客先常駐企業はクライアントからの見栄えを気にして、退職者に口コミサイトに書き込みをしない旨の誓約書を書かせることがあります。
未経験者の転職体験談|修行期間として覚悟するのもあり
未経験でIT業界に入り、自分の希望する企業へ転職した体験談をご紹介します。
いずれも筆者のケースです。
筆者のケース:未経験から客先常駐エンジニアに転職
新卒で入社したIT企業にてJavaやSQLの経験を積んだ後、リーマンショックの影響でリストラされてしまいました。
転職活動を開始するも、「経験不足」として面接にすら進むことができない状態です。
転職活動を経て客先常駐企業へ入社します。
面接の段階で社長の言動がパワハラ気質で入社に気が進みませんでした。
しかしスキルと経験をつけるための修行と割り切って渋々、入社を決意しました。
初めて参画したプロジェクトでリーダーを務める上司や先輩もパワハラ気質だったため人間関係も最悪の状態でした。
- 初日から威圧的な態度を取られる
- 長時間残業を強いられる
- OJTといいながら作業の丸投げ
- 炎上したプロジェクトに勝手に参入を決められる(事前の連絡無し)
- 有給休暇の取得に文句をいわれる
- 飲み会の強要
- 些細なミスで怒鳴られる
- パワハラがあることを本社に訴えても取り合ってもらえない
ストレスの強い職場でしたが、実装からプログラム設計、詳細設計と経験を積むことができました。
本番環境へのリリース作業も経験させてもらうことができ、数年でほかの現場へ異動できる程に成長できました。
その代わり心身への負担が大きかった記憶があります。
- 夕飯を食べているときに涙が出てくる
- 休日も仕事が頭から離れずリラックスできない
- 耳が聞こえなくなる
- のどが常に詰まった感じになる
- 仕事の日は目覚ましが鳴る前に目が覚めてしまう
- 飲酒・喫煙がやめられない
今考えれば鬱になってもおかしくない状況でした。転職した現在では、上記の症状はまったく出ていません。
前の会社には二度と戻りたいと思えないです。
筆者のケース:客先常駐から自社開発企業へ転職
常駐企業へ8年在籍したのち、転職活動を経て自社サービスを持つ企業へ入社できました。
転職活動を開始するにあたり、自身の市場価値を確認しました。
- 転職サイトに登録して企業からのスカウトがどれくらい来るかを確認
- エンジニアに特化した転職エージェントに登録した
一度目の転職では見向きもされませんでしたが、今度は10以上の企業からスカウトがきました。
企業によっては複数回スカウトを送られることもあります。
また転職エージェントもエンジニア採用に特化したエージェントへ登録することでスムーズに転職活動を行えました。
年収も400万から460万にアップし、希望する自社サービス開発を行う企業への内定を獲得。
今度は期待に満ちた入社を果たすことができました。
ストレスフルな職場を切り抜けて転職まで果たせたモチベーションとしては以下の2点があったと振り返ることができます。
- システム開発自体にやりがいを持っていた
- 修行と割り切っていた
万人へのおすすめは難しい方法ですが、モデルケースとして参考にしてください。
客先常駐に関するQ&A
ここでは客先常駐企業に関するよくある質問をまとめました。
「客先常駐の不安をすっきりさせたい」という方はぜひ参考にしてください。
Q1.今後、客先常駐のエンジニアは削減される?
クライアント先の経営状態によるため、一概にはいえません。
すべての企業がシステムを内製化するなど極端な変化が起きない限りシステム開発はなくなりません。
Q2.客先常駐から自社開発に転職できる人の特徴は?
筆者の経験から以下に当てはまる方は自社開発に転職できるといえます。
- 実装だけでなく、設計まで担当できる人
- 後輩指導やリーダー経験がある(2~3人の小さいチームでもOK)
- 変化やリスクを恐れない
- 自分の転職軸があり、説明できる人
設計までの経験があれば職務経歴書を見る人事担当者からの印象がよくなります。
また小さなチームでも良いのでリーダー経験があればアピール材料です。
転職活動は選考に落ちることもあり、自分を否定されたと感じる場面もあります。
そういった状況をおそれずに変化を望める方は自社開発企業への転職チャンスをつかめるといえます。
転職活動はさまざまな企業の条件を見るため、迷ってしまうことがあります。
自分なりの転職軸を持つことで迷わずに転職活動を進めることができます。
転職軸を決める場合は、「自分が何が嫌なのか」を中心に考えるとわかりやすいです。
筆者は以下を転職軸としていました。
- 自社のエンジニアが手を動かしていること(自社へノウハウを蓄積したいから)
- 人月ではなくサービスで収益を得ている企業であること
客先常駐を実際に経験したことで上記の転職軸を生み出せたと考えています。
Q3.客先常駐に向いてない人は?
客先常駐が向いていない人としては以下の特徴があげられます。
- 自己管理ができない
- 柔軟性がない
- コミュニケーション能力が低い
勤務先が客先なので遅刻が多いと印象が悪くなります。
常駐先が数か月で変わることもあるため、柔軟性がない人もストレスを感じてしまうでしょう。
チームで開発するため、コミュニケーション能力が低い場合はチームの連携を乱すことになり常駐に向かないといえます。
客先常駐から脱出したいなら転職はエージェントは必須!
今回は客先常駐について解説しました。
客先常駐は契約形態でなく、業務を進めるための形態の一つです。
エンジニアがかわす契約は以下の3種類。
- 準委任
- 請負
- 労働者派遣
労働者派遣以外は指揮命令は雇用元になります。
雇用元以外から指示される場合は偽装請負の可能性があります。
客先常駐が地獄といわれる理由はスキル不足の人材が派遣されることで効率がさがる点や、長時間残業。
1人現場で助けがない状態で仕事を強いられることが理由といえます。
客先常駐は現場によっては経験を積めるため、修行としてスキルを蓄積することが可能です。
実績が貯まれば転職への選択肢が増える可能性があります。
転職にはエージェントを利用することがおすすめ。
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